お子さんのアレルギーは、多くの保護者の方が気にかけるテーマです。妊娠中の食事との関わりについて、日本の大規模な調査から一つの報告が出ていますので、事実に沿ってお伝えします。
エコチル調査でわかったこと
日本全国で行われている「エコチル調査」では、約7万3千組の親子のデータをもとに、妊娠中期ごろの食事からのビタミンD摂取量と、お子さんが3歳になったときのアレルギー症状との関連が調べられました。その結果、ビタミンDの摂取量が多めだったグループでは、少なかったグループにくらべて、3歳時点でのアレルギー性鼻炎(鼻のアレルギー)がやや少ない傾向がみられた、と報告されています。
「エコチル調査」って何? 環境省が中心となって行っている、日本で最大級の子どもの健康調査です(正式名称:子どもの健康と環境に関する全国調査)。約10万組の親子が参加し、お子さんが13歳になるまで長期間見守りながら、環境や生活習慣が子どもの発育・健康にどう関わるかを調べています。多くの親子のデータから「傾向」をつかむための調査であり、個別の因果関係を断定するものではありません。
「とれば防げる」ではありません
喘息や湿疹については、はっきりした関連はみられませんでした。関連がみられたのは鼻のアレルギーに限られます。また、この調査は多くの人を観察して傾向を調べたもので、「ビタミンDが少ないとアレルギーになる」「とれば防げる」という因果関係を示したものではありません。研究者も、さらなる研究が必要だとしています。
今回の報告は食事からの摂取についてのものであり、サプリメントの効果を確かめたものではありません。アレルギーの発症予防を目的としたビタミンDサプリの使用については、現時点で十分な根拠はないとされています。
できることは、日々の食事のバランス
こうした情報は、「足りなかったから発症した」と受け止めるためのものではありません。ビタミンDを多く含む魚・きのこ・卵などを、バランスのよい食事のなかで取り入れていくことが大切です。サプリメントとしての摂取は、自己判断で量を増やすのではなく、かかりつけ医で採血を行ったうえで進めるのが安全です。
妊娠中の食事やお子さんの症状について気になることがあれば、かかりつけの産婦人科・小児科にご相談ください。わたしたちは小児歯科を中心に、お子さんの健やかな成長をお口の健康の面から支えていきます。
ここからは私(院長)個人の考えです。ビタミンDは、充足させることで様々な利点を得られるビタミンだと考えています。コロナ禍では、国内の医療従事者を対象にした調査で、9割以上がビタミンD不足・欠乏の状態にあったとする報告も出ました。ビタミンDは、太陽の光を浴びることでも体内で作られる、少し特殊なビタミンです。日焼け止めがなく、狩猟を行っていた頃の血中ビタミンD濃度が、人類にとって本来の適正値なのだとしたら、現代の私たちは、そこから不足しているのではないか――そんなふうにも思っています。
まとめ
妊娠中のビタミンDと3歳時のアレルギーには、ゆるやかな関連が報告されています。ただし「摂れば防げる」という話ではなく、日々の食事のバランスを整えることが基本です。気になることがあれば、いつでもご相談ください。
参考文献:
1. Shimizu M, et al.; Japan Environment and Children's Study Group. Maternal Dietary Vitamin D Intake during Pregnancy Is Associated with Allergic Disease Symptoms in Children at 3 Years Old. Int Arch Allergy Immunol. 2023;184(11):1106-1115. https://karger.com/iaa/article/184/11/1106/860747
2. 国立国際医療研究センター.医療従事者を対象とした調査(2,543名、2023年6月時点)で、ビタミンD不足44.9%・欠乏45.9%、合わせて9割超が基準値を下回っていたと報告.Clinical Nutrition ESPEN. 2024. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2405457724000287